VSCode トラブルシューティングで問題を迅速に解決する
Visual Studio Code(VSCode)は世界中の開発者に愛用される軽量エディタですが、拡張機能の競合やキャッシュの破損などにより、予期しない動作が発生することがあります。本記事では、VSCode トラブルシューティングの基本から応用まで、体系的に問題を切り分けて解決する方法を解説します。
エラーメッセージの読み方、ログの確認方法、拡張機能のBisect機能、Safe Mode起動、キャッシュクリア、完全な再インストール手順まで、初心者でも実践できる内容を網羅しています。
この記事で得られること
- 問題の原因を特定するための診断フローチャート
- Extension Bisectを使った拡張機能競合の切り分け方法
- Safe Mode(拡張機能無効)での起動手順
- ログファイルの確認と読み解き方
- 設定のリセットとキャッシュクリアの手順
- 完全なクリーンインストールの実施方法
- よくあるエラーメッセージと対処法
前提条件と実行環境
VSCode トラブルシューティングを実施するための前提条件を確認します。
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| VSCode | バージョン1.85以上を推奨 |
| OS | Windows 10/11、macOS 11以上、Linux |
| 権限 | 管理者権限(一部の操作で必要) |
| コマンドライン | ターミナルからのcodeコマンド実行が可能 |
トラブルシューティングの診断フローチャート
問題が発生した際は、以下のフローチャートに従って原因を切り分けます。体系的なアプローチにより、効率的に問題を特定できます。
flowchart TD
A[VSCodeで問題発生] --> B{拡張機能を無効にして改善?}
B -->|改善| C[Extension Bisectで問題の拡張機能を特定]
B -->|改善しない| D{設定をリセットして改善?}
D -->|改善| E[問題のある設定を特定]
D -->|改善しない| F{キャッシュクリアで改善?}
F -->|改善| G[キャッシュ破損が原因]
F -->|改善しない| H[クリーンインストールを実施]
C --> I[拡張機能の更新/アンインストール]
E --> J[設定の段階的な復元]
G --> K[解決]
H --> K
I --> K
J --> K拡張機能を無効にして起動する(Safe Mode)
多くのVSCode問題は拡張機能に起因します。すべての拡張機能を無効にした状態で起動することで、問題が拡張機能由来かどうかを判断できます。
コマンドラインから拡張機能を無効にして起動
ターミナルまたはコマンドプロンプトから以下のコマンドを実行します。
|
|
期待される結果
| 状態 | 判断 |
|---|---|
| 問題が解消した | 拡張機能が原因。Extension Bisectで特定へ |
| 問題が継続する | 拡張機能以外(設定、キャッシュ、VSCode本体)が原因 |
GUI から拡張機能を一括無効化
コマンドラインを使用しない場合は、以下の手順で一括無効化できます。
Ctrl+Shift+Xで拡張機能ビューを開く- 右上の
...メニューをクリック - 「Disable All Installed Extensions」を選択
- VSCodeを再起動
Extension Bisectで問題の拡張機能を特定する
拡張機能が原因と判明した場合、Extension Bisect機能を使って問題の拡張機能を二分探索法で効率的に特定します。
Extension Bisectの起動手順
Ctrl+Shift+Pでコマンドパレットを開く- 「Help: Start Extension Bisect」と入力して実行
- 画面の指示に従って「Good now」または「This is bad」を選択
sequenceDiagram
participant U as ユーザー
participant V as VSCode
participant E as 拡張機能群
U->>V: Extension Bisect開始
V->>E: 半分の拡張機能を無効化
V->>U: 問題は解消しましたか?
U->>V: Good now / This is bad
V->>E: 探索範囲を半分に絞り込み
Note over V,E: 繰り返し(log2(N)回)
V->>U: 問題の拡張機能を特定Bisectの計算量
Extension Bisectは二分探索アルゴリズムを採用しています。
| 拡張機能数 | 最大ステップ数 |
|---|---|
| 10個 | 4-5回 |
| 24個 | 5-6回 |
| 50個 | 6-7回 |
| 100個 | 7-8回 |
従来の1つずつ無効化する方法と比較して、大幅に効率化されています。
問題の拡張機能が特定された後の対応
- 拡張機能の更新を確認: 最新バージョンで修正されている可能性
- 拡張機能をアンインストール:
Ctrl+Shift+Xから歯車アイコン→「Uninstall」 - Issue報告: 拡張機能のGitHubリポジトリに問題を報告
|
|
VSCodeのログを確認する
問題の詳細を把握するには、ログファイルの確認が有効です。VSCodeは複数のログを出力しており、状況に応じて適切なログを参照します。
Developer Toolsでリアルタイムログを確認
Ctrl+Shift+Pでコマンドパレットを開く- 「Developer: Toggle Developer Tools」と入力して実行
- 「Console」タブでエラーや警告を確認
出力パネルでのログ確認
Ctrl+Shift+Uで出力パネルを開く- ドロップダウンから確認したいログを選択
- Log (Main): メインプロセスのログ
- Log (Extension Host): 拡張機能ホストのログ
- Log (Window): ウィンドウプロセスのログ
Verbose(詳細)モードでの起動
より詳細なログを取得する場合は、Verboseモードで起動します。
|
|
ログファイルの保存場所
| OS | ログフォルダのパス |
|---|---|
| Windows | %APPDATA%\Code\logs\ |
| macOS | $HOME/Library/Application Support/Code/logs/ |
| Linux | $HOME/.config/Code/logs/ |
設定をリセットする
設定ファイルの破損や誤った設定値が問題の原因となることがあります。
設定ファイルの場所
| OS | settings.jsonのパス |
|---|---|
| Windows | %APPDATA%\Code\User\settings.json |
| macOS | $HOME/Library/Application Support/Code/User/settings.json |
| Linux | $HOME/.config/Code/User/settings.json |
設定を完全にリセットする手順
- VSCodeを終了する
- 設定ファイルのバックアップを作成
|
|
- settings.jsonの内容を空のオブジェクトに置き換え
|
|
- VSCodeを再起動
個別の設定をリセットする
Settings Editor(Ctrl+,)から個別の設定をリセットできます。
- 設定エディタを開く(
Ctrl+,) - リセットしたい設定を検索
- 設定の横にある歯車アイコンをクリック
- 「Reset Setting」を選択
変更された設定を確認する
|
|
これにより、デフォルト値から変更されたすべての設定が一覧表示されます。
キャッシュをクリアする
キャッシュの破損は、予期しない動作やクラッシュの原因となります。
キャッシュフォルダの場所
| OS | キャッシュフォルダのパス |
|---|---|
| Windows | %APPDATA%\Code\Cache\ および %APPDATA%\Code\CachedData\ |
| macOS | $HOME/Library/Application Support/Code/Cache/ |
| Linux | $HOME/.config/Code/Cache/ |
キャッシュクリアの手順
- VSCodeを完全に終了する(タスクマネージャーでプロセスを確認)
- キャッシュフォルダを削除
|
|
- VSCodeを再起動
期待される結果
キャッシュクリア後、初回起動時は以下の動作が発生します。
- 起動が通常より少し遅くなる(キャッシュ再構築のため)
- 拡張機能の再読み込みが行われる
- IntelliSenseのインデックスが再構築される
完全なクリーンインストールを実施する
上記の対処法で解決しない場合は、VSCodeの完全なクリーンインストールを実施します。
クリーンアンインストールの手順
Windows
- コントロールパネルまたは設定からVSCodeをアンインストール
- 以下のフォルダを削除
|
|
macOS
- アプリケーションフォルダからVSCodeをゴミ箱に移動
- 以下のフォルダを削除
|
|
Linux
- パッケージマネージャーでVSCodeをアンインストール
|
|
- 以下のフォルダを削除
|
|
再インストール
- VSCode公式サイトから最新版をダウンロード
- インストーラーを実行
- 必要に応じて拡張機能を再インストール
起動時のパフォーマンス診断
VSCodeの起動が遅い場合、起動時間の詳細な計測と診断が可能です。
起動パフォーマンスの計測
|
|
Developer: Startup Performanceコマンド
- VSCodeを起動
Ctrl+Shift+Pでコマンドパレットを開く- 「Developer: Startup Performance」と入力して実行
- 起動フェーズごとの所要時間が表示される
起動パフォーマンスレポートの読み方
| フェーズ | 説明 |
|---|---|
| main | VSCodeのメインプロセス起動 |
| window | ウィンドウの初期化 |
| renderer | レンダラープロセスの起動 |
| extensions | 拡張機能の読み込み |
| workbench | ワークベンチ(UI)の構築 |
extensionsフェーズが長い場合は、拡張機能の最適化を検討してください。
よくあるエラーメッセージと対処法
“Unable to write settings”
設定ファイルの書き込みに失敗するエラーです。
原因と対処法
-
settings.jsonの構文エラー
Ctrl+Shift+P→ 「Preferences: Open User Settings (JSON)」- 赤い波線でエラー箇所を確認し修正
-
ファイルの権限問題
- settings.jsonの書き込み権限を確認
- 管理者権限でVSCodeを実行
“Extension host terminated unexpectedly”
拡張機能ホストプロセスがクラッシュするエラーです。
対処法
- Extension Bisectで問題の拡張機能を特定
- 拡張機能を最新バージョンに更新
- 問題が解決しない場合はアンインストール
“Cannot install extension because Visual Studio Code cannot verify the extension signature”
拡張機能の署名検証に失敗するエラーです。
対処法
- インターネット接続を確認
- プロキシ設定を確認(企業ネットワークの場合)
- 一時的に署名検証を無効化(非推奨)
|
|
“connect ETIMEDOUT” (拡張機能インストール時)
ネットワーク接続のタイムアウトエラーです。
対処法
- インターネット接続を確認
- プロキシ設定を追加
|
|
“‘code’ is not recognized as an internal or external command”
codeコマンドがパスに登録されていない状態です。
対処法
- Windows/Linux: VSCodeを再インストール
- macOS: コマンドパレットで「Shell Command: Install ‘code’ command in PATH」を実行
“Git not found”
Gitがインストールされていない、またはパスが通っていません。
対処法
- Gitをインストール
git.path設定でGitの実行ファイルを明示的に指定
|
|
独立した環境でのテスト
問題の切り分けのため、完全に独立した環境でVSCodeを起動できます。
別のユーザーデータディレクトリを指定
|
|
この方法により、既存の設定や拡張機能に影響を与えずにテストできます。
Portable Modeの活用
USBドライブなどに完全に独立したVSCode環境を構築できます。
- VSCodeのZIP版をダウンロード
- 展開したフォルダ内に
dataフォルダを作成 - 設定と拡張機能がすべて
dataフォルダ内に保存される
VSCode Insidersでの検証
安定版で問題が発生する場合、VSCode Insiders(プレビュー版)で検証することで、次期バージョンで修正されているかどうかを確認できます。
|
|
Insidersは安定版と共存してインストールできます。
まとめ
VSCode トラブルシューティングの体系的なアプローチをまとめます。
| 段階 | 対処法 | 解決できる問題 |
|---|---|---|
| 1 | 拡張機能を無効にして起動 | 拡張機能の競合・バグ |
| 2 | Extension Bisect | 問題の拡張機能を特定 |
| 3 | 設定のリセット | 設定値の誤り・破損 |
| 4 | キャッシュクリア | キャッシュ破損 |
| 5 | クリーンインストール | 深刻な環境破損 |
問題が発生した際は、このフローに従って段階的に原因を切り分けることで、効率的に解決できます。