はじめに
前回の記事では、Reactの基本概念について解説しました。本記事では、実際にReact開発を始めるための環境構築手順を解説します。
2025年現在、Reactプロジェクトを始める際の標準的な選択肢は「Vite」です。かつてはCreate React App(CRA)が公式推奨でしたが、React公式ドキュメントではViteをはじめとするモダンなビルドツールの使用を推奨しています。
本記事を読むことで、以下のことができるようになります。
- Node.jsのインストールと確認
- Viteを使ったReactプロジェクトの作成
- VS Codeの最適な設定と推奨拡張機能の導入
- 開発サーバーの起動とホットリロードの体験
実行環境・前提条件
必要な環境
- OS:Windows 10/11、macOS 12以上、またはLinux(Ubuntu 20.04以上推奨)
- メモリ:4GB以上(8GB推奨)
- ディスク容量:10GB以上の空き容量
前提知識
- ターミナル(コマンドプロンプト、PowerShell、bash)の基本操作
- HTMLとJavaScriptの基礎知識
Node.jsのインストール
ReactはNode.js上で動作する開発ツールを使用するため、まずNode.jsをインストールします。
Node.jsとは
Node.jsは、JavaScriptをブラウザ外で実行するためのランタイム環境です。React開発では、以下の用途で使用します。
- パッケージ管理(npm / yarn / pnpm)
- 開発サーバーの起動
- ビルドツールの実行
- TypeScriptのコンパイル
推奨バージョン
2025年12月現在、以下のバージョンを推奨します。
- Node.js 20.x LTS(Long Term Support)
- Node.js 22.x(最新機能が必要な場合)
LTS(長期サポート)版は安定性が高く、本番環境での使用に適しています。
Windowsでのインストール
公式サイトからインストーラーをダウンロードする方法が最も簡単です。
- Node.js公式サイトにアクセス
- 「LTS」と記載されたバージョンの「Download」ボタンをクリック
- ダウンロードしたインストーラーを実行
- ウィザードに従ってインストール(デフォルト設定のままで問題ありません)
インストール完了後、PowerShellまたはコマンドプロンプトを開いて確認します。
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macOSでのインストール
macOSでは、Homebrewを使用したインストールが便利です。
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バージョン管理ツールの活用
複数のプロジェクトで異なるNode.jsバージョンを使い分ける場合は、バージョン管理ツールの導入をおすすめします。
nvm(Node Version Manager)
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Windowsの場合はnvm-windows
nvm-windowsをダウンロードし、インストーラーを実行します。
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Viteを使ったReactプロジェクトの作成
Node.jsのインストールが完了したら、Viteを使ってReactプロジェクトを作成します。
Viteとは
Viteは、フランス語で「速い」を意味する次世代フロントエンドビルドツールです。Evan You(Vue.jsの作者)によって開発され、以下の特徴を持ちます。
- 高速な開発サーバー起動:ESモジュールのネイティブサポートにより、依存関係の事前バンドルが不要
- 高速なホットモジュールリプレースメント(HMR):変更がミリ秒単位で反映
- 最適化されたビルド:本番環境向けにRollupを使用した効率的なバンドル
- TypeScript対応:追加設定なしでTypeScriptが使用可能
プロジェクトの作成
任意のディレクトリで以下のコマンドを実行します。
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このコマンドの意味は以下のとおりです。
npm create vite@latest:最新のViteプロジェクト作成ツールを実行my-react-app:プロジェクト名(任意の名前に変更可能)-- --template react:Reactテンプレートを使用
TypeScriptを使用する場合
TypeScriptでプロジェクトを作成する場合は、以下のコマンドを使用します。
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対話形式での作成
テンプレートを指定せずにコマンドを実行すると、対話形式でオプションを選択できます。
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以下の項目を順に選択します。
? Project name: my-react-app
? Select a framework: React
? Select a variant: JavaScript (または TypeScript)
依存パッケージのインストール
プロジェクトディレクトリに移動し、依存パッケージをインストールします。
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期待される結果
インストール完了後、以下のディレクトリ構造が生成されます。
my-react-app/
├── node_modules/ # 依存パッケージ
├── public/ # 静的ファイル
│ └── vite.svg
├── src/ # ソースコード
│ ├── assets/
│ │ └── react.svg
│ ├── App.css
│ ├── App.jsx
│ ├── index.css
│ └── main.jsx
├── .gitignore
├── eslint.config.js # ESLint設定
├── index.html # エントリーポイント
├── package.json # プロジェクト設定
├── package-lock.json
├── README.md
└── vite.config.js # Vite設定
プロジェクト構成の解説
生成されたファイルの役割を理解しておきましょう。
index.html
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このHTMLファイルがアプリケーションのエントリーポイントです。<div id="root"></div>がReactアプリケーションのマウント先となります。
src/main.jsx
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このファイルでReactアプリケーションを初期化し、DOMにマウントしています。StrictModeは開発時に潜在的な問題を検出するためのラッパーコンポーネントです。
src/App.jsx
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これがメインのReactコンポーネントです。useStateを使ったカウンター機能が実装されています。
package.json
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scriptsセクションで定義されているコマンドは以下のとおりです。
npm run dev:開発サーバーを起動npm run build:本番用にビルドnpm run lint:コードの静的解析npm run preview:ビルド結果をプレビュー
開発サーバーの起動
いよいよReactアプリケーションを起動します。
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期待される結果
以下のような出力が表示されます。
VITE v6.0.5 ready in 200 ms
➜ Local: http://localhost:5173/
➜ Network: use --host to expose
➜ press h + enter to show help
ブラウザでhttp://localhost:5173/にアクセスすると、ViteとReactのロゴ、カウンターボタンが表示されます。
ホットモジュールリプレースメント(HMR)の体験
開発サーバーを起動したまま、src/App.jsxを編集してみましょう。
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ファイルを保存すると、ブラウザを手動でリロードすることなく、変更が即座に反映されます。これがHMRの威力です。
VS Codeの設定と推奨拡張機能
効率的なReact開発のために、VS Codeの設定を最適化しましょう。
必須拡張機能
以下の拡張機能をインストールすることを強く推奨します。
ES7+ React/Redux/React-Native snippets
Reactコンポーネントのスニペットを提供します。rafceと入力するだけで、アロー関数コンポーネントのテンプレートが生成されます。
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ESLint
JavaScriptのコード品質をチェックし、問題を自動検出します。
Prettier - Code formatter
コードを自動整形し、一貫したスタイルを維持します。
Auto Rename Tag
HTMLタグを編集すると、対応する閉じタグも自動で更新されます。JSXでも機能します。
Error Lens
エラーや警告をコード行内にインラインで表示します。問題の発見が容易になります。
推奨設定
VS Codeの設定ファイル(settings.json)に以下を追加します。
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これにより、以下の機能が有効になります。
- ファイル保存時に自動フォーマット
- ESLintエラーの自動修正
- JSXファイルでのEmmet展開
プロジェクト固有の設定
プロジェクトルートに.vscode/settings.jsonを作成すると、プロジェクト固有の設定を適用できます。
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よくあるトラブルと解決策
環境構築時によく発生する問題と解決方法を紹介します。
npm installでエラーが発生する
症状:EACCESやEPERMエラーが表示される
原因:権限の問題
解決策:
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ポート5173が使用中
症状:Port 5173 is already in use
解決策:別のポートを使用する
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またはvite.config.jsでポートを指定します。
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node_modulesの問題
症状:不明なエラーが多発する
解決策:node_modulesを削除して再インストール
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パッケージマネージャーの選択肢
npmの代わりに、より高速なパッケージマネージャーを使用することもできます。
pnpm
ディスク容量を節約しながら高速にパッケージをインストールできます。
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yarn
Facebookが開発したパッケージマネージャーです。
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まとめ
本記事では、Viteを使ったReact開発環境の構築手順を解説しました。
- Node.jsのインストール:LTS版(20.x)を推奨、nvmでバージョン管理が可能
- Viteプロジェクトの作成:
npm create vite@latestコマンドで簡単に開始 - プロジェクト構成:index.html、main.jsx、App.jsxの役割を理解
- 開発サーバー:HMRによる高速な開発体験
- VS Code設定:ESLint、Prettier、スニペット拡張機能で効率化
これで、React開発を始めるための環境が整いました。次の記事では、ReactのUI記述に使用するJSXの文法について詳しく解説します。