はじめに

Webサイトを閲覧していると、ボタンをクリックしたときにメニューが開いたり、スクロールに合わせてアニメーションが動いたり、フォームに入力した内容がリアルタイムでチェックされたりする場面に出会います。これらの動きを実現しているのがJavaScriptです。

JavaScriptは、Webブラウザ上で動作するプログラミング言語として1995年に誕生しました。それから30年が経った現在、JavaScriptはフロントエンド開発だけでなく、サーバーサイド、モバイルアプリ、デスクトップアプリなど、あらゆる領域で使われる汎用言語へと進化しています。

本記事では、JavaScriptをこれから学び始める方に向けて、以下の内容を解説します。

  • JavaScriptとは何か、その歴史と進化
  • WebにおけるJavaScriptの役割と位置付け
  • JavaScriptでできること(具体的な活用例)
  • なぜ今JavaScriptを学ぶべきなのか
  • 学習を始めるための第一歩

JavaScriptとは何か

JavaScriptの定義

JavaScriptは、Webページに動的な機能を追加するためのプログラミング言語です。MDN Web Docsでは次のように定義されています。

JavaScriptは、Webページをインタラクティブにするためのクロスプラットフォーム、オブジェクト指向のスクリプト言語です。

HTMLがWebページの構造を定義し、CSSがその見た目を装飾するのに対して、JavaScriptはWebページに「動き」と「振る舞い」を与えます。この3つの技術を組み合わせることで、現代のWebサイトは成り立っています。

graph LR
    A[HTML] -->|構造| D[Webページ]
    B[CSS] -->|装飾| D
    C[JavaScript] -->|動作| D
    style A fill:#e34c26,color:#fff
    style B fill:#264de4,color:#fff
    style C fill:#f7df1e,color:#000
    style D fill:#6c757d,color:#fff

JavaScriptの歴史

JavaScriptは1995年、Netscape社のBrendan Eich氏によってわずか10日間で開発されました。当初は「Mocha」、その後「LiveScript」と呼ばれていましたが、当時人気だったJava言語にあやかって「JavaScript」と名付けられました。

出来事
1995年 Netscape NavigatorにJavaScriptが搭載される
1997年 ECMAScript 1として標準化される
2009年 Node.jsの登場でサーバーサイドでも使用可能に
2015年 ES6(ECMAScript 2015)で大幅な機能強化
2020年以降 毎年新機能が追加され進化を続ける

JavaScriptは名前に「Java」が含まれていますが、Java言語とは全く異なるプログラミング言語です。JavaScriptは動的型付け言語であり、プロトタイプベースのオブジェクト指向を採用しています。一方、Javaは静的型付け言語であり、クラスベースのオブジェクト指向を採用しています。

ECMAScriptとは

JavaScriptの標準仕様は「ECMAScript」としてEcma Internationalによって策定されています。ECMAScriptはJavaScriptの言語仕様を定めた規格であり、各ブラウザベンダーはこの仕様に基づいてJavaScriptエンジンを実装しています。

代表的なJavaScriptエンジンには以下のものがあります。

ブラウザ JavaScriptエンジン
Google Chrome V8
Mozilla Firefox SpiderMonkey
Apple Safari JavaScriptCore
Microsoft Edge V8(Chromiumベース)

2015年にリリースされたES6(ECMAScript 2015)以降、JavaScriptは毎年新機能が追加されるようになりました。これにより、アロー関数、クラス構文、モジュールシステム、async/awaitなど、現代的なプログラミングに必要な機能が次々と導入されています。

WebにおけるJavaScriptの役割

クライアントサイドJavaScript

クライアントサイドJavaScriptは、ユーザーのWebブラウザ上で動作するJavaScriptです。主に以下の役割を担っています。

DOM操作

DOM(Document Object Model)は、HTMLドキュメントをプログラムから操作するためのインターフェースです。JavaScriptを使うことで、ページの内容を動的に変更したり、要素を追加・削除したりできます。

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// ボタンをクリックしたときにテキストを変更する例
const button = document.querySelector('#myButton');
const message = document.querySelector('#message');

button.addEventListener('click', () => {
  message.textContent = 'ボタンがクリックされました!';
});

イベント処理

ユーザーの操作(クリック、キー入力、スクロールなど)に応じて処理を実行できます。これにより、インタラクティブなユーザー体験を実現できます。

非同期通信(Ajax/Fetch API)

ページを再読み込みすることなく、サーバーとデータをやり取りできます。これにより、シングルページアプリケーション(SPA)のようなスムーズなユーザー体験が可能になります。

サーバーサイドJavaScript

2009年にNode.jsが登場したことで、JavaScriptはサーバーサイドでも使われるようになりました。Node.jsはGoogle ChromeのV8エンジンをベースに構築されており、サーバー上でJavaScriptを実行できます。

graph TB
    subgraph クライアント
        A[ブラウザ]
        B[JavaScript<br/>フロントエンド]
    end
    subgraph サーバー
        C[Node.js]
        D[JavaScript<br/>バックエンド]
        E[データベース]
    end
    A -->|HTTPリクエスト| C
    C -->|HTTPレスポンス| A
    C --> D
    D --> E
    style B fill:#f7df1e,color:#000
    style D fill:#f7df1e,color:#000

サーバーサイドでJavaScriptを使用することで、フロントエンドとバックエンドで同じ言語を使えるという大きなメリットがあります。これにより、開発者は1つの言語を深く学ぶことで、Web開発の全領域をカバーできるようになります。

JavaScriptでできること

JavaScriptは非常に汎用性の高い言語であり、様々な領域で活用されています。具体的な例を見ていきましょう。

Webサイトのインタラクション

最も基本的な用途として、Webサイトに動きを付けることができます。

  • ハンバーガーメニューの開閉
  • モーダルウィンドウの表示
  • フォームのバリデーション
  • スライダーやカルーセルの実装
  • スクロールに連動したアニメーション

Webアプリケーション開発

React、Vue.js、Angularなどのフレームワークを使用することで、高度なWebアプリケーションを構築できます。

フレームワーク 特徴 採用企業例
React コンポーネント指向、仮想DOM Facebook、Netflix、Airbnb
Vue.js 学習コストが低い、柔軟性が高い Alibaba、GitLab
Angular フルスタック、大規模向け Google、Microsoft

これらのフレームワークを使うことで、Gmail、Trello、Notionのようなリッチなユーザー体験を持つWebアプリケーションを開発できます。

サーバーサイド開発

Node.jsとExpress、Fastify、NestJSなどのフレームワークを組み合わせることで、APIサーバーやWebサーバーを構築できます。

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// Express.jsを使ったシンプルなAPIサーバーの例
const express = require('express');
const app = express();

app.get('/api/users', (req, res) => {
  res.json([
    { id: 1, name: '田中太郎' },
    { id: 2, name: '鈴木花子' }
  ]);
});

app.listen(3000, () => {
  console.log('サーバーがポート3000で起動しました');
});

モバイルアプリ開発

React NativeやIonicなどのフレームワークを使用することで、JavaScriptでiOSとAndroidの両方に対応したモバイルアプリを開発できます。1つのコードベースで複数のプラットフォームに対応できるため、開発効率が大幅に向上します。

デスクトップアプリ開発

Electronを使用することで、Windows、macOS、Linuxで動作するデスクトップアプリを開発できます。Visual Studio Code、Slack、Discordなど、多くの人気アプリがElectronで構築されています。

その他の活用領域

  • ゲーム開発: Phaser、Three.jsなどでブラウザゲームや3Dグラフィックスを開発
  • 機械学習: TensorFlow.jsでブラウザ上で機械学習モデルを実行
  • IoT: Johnny-Fiveなどでハードウェア制御
  • コマンドラインツール: Node.jsでCLIツールを開発

なぜJavaScriptを学ぶべきなのか

Web開発のデファクトスタンダード

JavaScriptは、Webブラウザ上で動作する唯一のプログラミング言語です(WebAssemblyを除く)。Webサイトやウェブアプリケーションを開発するためには、JavaScriptの知識が必須となります。

Stack Overflowの開発者調査によると、JavaScriptは10年以上連続で最も使用されているプログラミング言語の1つとして上位にランクインしています。

圧倒的な求人数

JavaScriptエンジニアの需要は非常に高く、フロントエンド、バックエンド、フルスタックと幅広いポジションで求人があります。特に、ReactやVue.jsなどのフレームワークと組み合わせたスキルセットは、転職市場で高く評価されています。

学習リソースの豊富さ

JavaScriptは世界中で最も多くの開発者が使用している言語の1つであり、学習リソースが豊富に存在します。

  • 公式ドキュメント(MDN Web Docs)
  • オンライン学習サービス(Udemy、Progate、ドットインストールなど)
  • 書籍(入門書から上級者向けまで多数)
  • コミュニティ(Stack Overflow、Qiita、Zennなど)

1つの言語で幅広い開発が可能

前述の通り、JavaScriptはフロントエンド、バックエンド、モバイル、デスクトップと幅広い領域で使用できます。1つの言語を深く学ぶことで、様々な種類のアプリケーション開発に挑戦できるのは大きなメリットです。

mindmap
  root((JavaScript))
    フロントエンド
      React
      Vue.js
      Angular
    バックエンド
      Node.js
      Express
      NestJS
    モバイル
      React Native
      Ionic
    デスクトップ
      Electron
    その他
      ゲーム開発
      機械学習
      IoT

JavaScriptを始めるための準備

必要なツール

JavaScriptの学習を始めるために必要なものはとてもシンプルです。

  1. Webブラウザ: Google Chrome、Firefox、Microsoft Edgeなど(開発者ツールが使いやすいChromeがおすすめ)
  2. テキストエディタ: Visual Studio Code(VS Code)が最も人気で、拡張機能も豊富

ブラウザのコンソールでJavaScriptを実行する

最も手軽にJavaScriptを試す方法は、ブラウザの開発者ツールにあるコンソールを使用することです。

  1. Google Chromeを開く
  2. F12キーを押す(または右クリック → 検証)
  3. 「Console」タブを選択
  4. JavaScriptコードを入力してEnterキーを押す
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// コンソールで試してみましょう
console.log('Hello, JavaScript!');

// 計算も可能
console.log(10 + 20);

// 変数を使った例
const name = '太郎';
console.log(`こんにちは、${name}さん!`);

HTMLファイルでJavaScriptを実行する

HTMLファイルにJavaScriptを組み込んで実行することもできます。

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<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
  <meta charset="UTF-8">
  <title>JavaScript入門</title>
</head>
<body>
  <h1 id="greeting">ようこそ</h1>
  <button id="changeButton">メッセージを変更</button>

  <script>
    const button = document.querySelector('#changeButton');
    const heading = document.querySelector('#greeting');

    button.addEventListener('click', () => {
      heading.textContent = 'JavaScriptで変更されました!';
    });
  </script>
</body>
</html>

このファイルをブラウザで開き、ボタンをクリックすると、見出しのテキストが変更されます。これがJavaScriptの基本的な動作です。

まとめ

本記事では、JavaScriptの概要と特徴について解説しました。

  • JavaScriptは1995年に誕生し、Webページに動的な機能を追加するための言語として発展してきました
  • HTML(構造)、CSS(装飾)と組み合わせることで、現代のWebサイトは成り立っています
  • ECMAScriptとして標準化され、毎年新機能が追加されています
  • クライアントサイドだけでなく、Node.jsによりサーバーサイドでも使用可能です
  • Webアプリ、モバイルアプリ、デスクトップアプリなど幅広い開発が可能です
  • Web開発を行う上で必須の言語であり、求人数も多く、学習する価値が高い言語です

JavaScriptは初心者にとって学びやすい言語でありながら、奥が深く、長く付き合える言語です。まずはブラウザのコンソールで簡単なコードを試すことから始めてみてください。

参考リンク