はじめに
GitHub Copilot Chatでは、OpenAI、Anthropic、Google、xAIなど複数のプロバイダーが提供するAIモデルを切り替えて使用できます。2025年12月現在、VS Code上で利用可能なモデルは20種類を超え、それぞれ速度、精度、得意分野、コスト効率が異なります。
本記事では、VS CodeのCopilot Chatで利用できる各AIモデルの特徴を徹底比較し、開発シーン別の最適なモデル選びをサポートします。この記事を読むことで、以下のことが理解できます:
- 各AIモデルの特徴とコンテキストサイズ
- プレミアムリクエストの消費量(モデルマルチプライヤー)
- タスク別の最適なモデル選択基準
- 実際の開発シーンでの活用例と期待される効果
前提条件
本記事の内容を実践するには、以下の環境が必要です。
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| VS Code | バージョン1.104.1以降 |
| GitHub Copilot拡張機能 | 最新版 |
| サブスクリプション | Copilot Pro、Pro+、Business、またはEnterprise |
Copilot Freeプランでも一部のモデル(GPT-4.1、GPT-5 mini、Claude Haiku 4.5、Raptor miniなど)は利用可能ですが、月間50プレミアムリクエストの制限があります。
Copilot ChatのAIモデル一覧と特徴
モデル概要比較表
以下は、VS CodeのCopilot Chatで利用可能な主要AIモデルの一覧です。
| モデル名 | プロバイダー | リリース状態 | プレミアムリクエスト消費 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|
| GPT-4.1 | OpenAI | GA | 0(無料) | 汎用コーディング、ビジョン対応 |
| GPT-4o | OpenAI | GA | 0(無料) | 汎用タスク、マルチモーダル |
| GPT-5 | OpenAI | GA | 1 | 深い推論、アーキテクチャ分析 |
| GPT-5 mini | OpenAI | GA | 0(無料) | 高速、推論・ビジョン対応 |
| GPT-5-Codex (Preview) | OpenAI | Preview | 1 | コーディング特化 |
| GPT-5.1 | OpenAI | GA | 1 | 深い推論、デバッグ |
| GPT-5.1-Codex | OpenAI | GA | 1 | コーディング最適化 |
| GPT-5.1-Codex-Mini (Preview) | OpenAI | Preview | 0.33 | 軽量コーディング |
| GPT-5.1-Codex-Max | OpenAI | GA | 1 | 高精度コーディング |
| GPT-5.2 | OpenAI | GA | 1 | 最新推論エンジン |
| Claude Haiku 4.5 | Anthropic | GA | 0.33 | 高速、軽量タスク |
| Claude Sonnet 4 | Anthropic | GA | 1 | バランス型、ビジョン対応 |
| Claude Sonnet 4.5 | Anthropic | GA | 1 | エージェント・コーディング最適化 |
| Claude Opus 4.5 | Anthropic | GA | 3 | 最高精度、複雑タスク向け |
| Gemini 2.5 Pro | GA | 1 | 深い推論、長文コンテキスト | |
| Gemini 3 Flash (Preview) | Preview | 0.33 | 高速レスポンス | |
| Gemini 3 Pro (Preview) | Preview | 1 | 次世代推論 | |
| Grok Code Fast 1 | xAI | GA | 0.25 | 高速コード生成 |
| Raptor mini (Preview) | GPT-5 mini派生 | Preview | 0(無料) | インライン提案最適化 |
コンテキストウィンドウサイズ
AIモデルの処理能力を左右する重要な要素がコンテキストウィンドウサイズです。より大きなコンテキストウィンドウを持つモデルは、多くのファイルやコードを同時に参照できます。
| モデル系統 | コンテキストウィンドウ | 特記事項 |
|---|---|---|
| Claude系(Opus、Sonnet、Haiku) | 200K トークン | 最大64K出力トークン対応 |
| GPT-5系 | 128K トークン | 思考機能を標準搭載 |
| Gemini 2.5 Pro | 1M トークン | 長文コンテキストに最適 |
| Gemini 3系 | 1M トークン | 次世代アーキテクチャ |
タスク別おすすめモデル比較
汎用コーディング・ドキュメント作成
日常的な開発タスクには、速度とコスト効率のバランスが取れたモデルが適しています。
推奨モデル:
| モデル | 理由 |
|---|---|
| GPT-5 mini | 高速・正確、プレミアムリクエスト消費なし |
| GPT-4.1 | 安定した品質、ビジョン対応 |
| Grok Code Fast 1 | コーディング特化、低コスト(0.25×) |
| Raptor mini | インライン提案に最適化 |
活用例:
- 関数やクラスの実装
- ドキュメント・コメントの生成
- コードレビューと説明
- 軽微なバグ修正
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高速応答が必要なタスク
素早いフィードバックが求められるシーンでは、レイテンシが低いモデルを選択します。
推奨モデル:
| モデル | 理由 |
|---|---|
| Claude Haiku 4.5 | 高速かつ品質のバランスが良い |
| Gemini 3 Flash | 超高速レスポンス |
| GPT-5.1-Codex-Mini | 軽量で効率的 |
活用例:
- シンタックスの確認
- 短いコードスニペットの生成
- クイックプロトタイピング
- 繰り返しの編集作業
深い推論・複雑なデバッグ
複雑なロジックの分析やアーキテクチャレベルの判断が必要な場面では、推論能力の高いモデルを選択します。
推奨モデル:
| モデル | 理由 |
|---|---|
| Claude Opus 4.5 | 最高精度、複雑な問題解決 |
| GPT-5 | 深い推論、マルチステップ分析 |
| GPT-5.2 | 最新の推論エンジン |
| Gemini 2.5 Pro | 長文コンテキストでの分析 |
活用例:
- 複数ファイルにまたがるデバッグ
- 大規模リファクタリングの計画
- アーキテクチャ設計の検討
- パフォーマンス最適化の分析
|
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ビジョン・マルチモーダルタスク
スクリーンショットやダイアグラムを解析する必要がある場面では、ビジョン対応モデルを使用します。
推奨モデル:
| モデル | 理由 |
|---|---|
| GPT-5 mini | ビジョン対応、高速 |
| Claude Sonnet 4 | 信頼性の高いビジュアル解析 |
| Gemini 2.5 Pro | 画像理解に優れる |
| GPT-4.1 | 安定したビジョン処理 |
活用例:
- UIモックアップからコード生成
- エラー画面のスクリーンショット分析
- ダイアグラムの解釈
- フロントエンドのビジュアルデバッグ
Agentモード・自律的タスク
Copilot ChatのAgentモードで複数ステップの作業を自動化する場合は、エージェント対応モデルを選択します。
推奨モデル:
| モデル | 理由 |
|---|---|
| Claude Sonnet 4.5 | エージェント・コーディングに最適化 |
| Claude Opus 4.5 | 長時間の自律タスク |
| GPT-5.1-Codex | Agentモード最適化 |
| GPT-4.1 | 安定したツール呼び出し |
活用例:
- 新機能の実装(計画から実装まで)
- テストコードの自動生成
- ドキュメント一括更新
- コードベース全体のリファクタリング
プレミアムリクエストとコスト最適化
モデルマルチプライヤーの理解
各モデルには「プレミアムリクエストマルチプライヤー」が設定されており、1回のリクエストで消費されるプレミアムリクエスト数が異なります。
コスト効率の高いモデル(マルチプライヤー0.33以下):
| モデル | マルチプライヤー | 用途 |
|---|---|---|
| Grok Code Fast 1 | 0.25× | 高速コーディング |
| Claude Haiku 4.5 | 0.33× | 軽量タスク全般 |
| Gemini 3 Flash | 0.33× | 高速応答 |
| GPT-5.1-Codex-Mini | 0.33× | 軽量コーディング |
無料で利用可能なモデル(有料プラン):
| モデル | マルチプライヤー | 特徴 |
|---|---|---|
| GPT-4.1 | 0 | 汎用、ビジョン対応 |
| GPT-4o | 0 | マルチモーダル |
| GPT-5 mini | 0 | 高速、推論対応 |
| Raptor mini | 0 | インライン提案特化 |
高コストモデル(複雑タスク向け):
| モデル | マルチプライヤー | 推奨シーン |
|---|---|---|
| Claude Opus 4.5 | 3× | 最高精度が必要な場面 |
| Claude Opus 4.1 | 10× | 極めて複雑な問題解決 |
Auto Model Selection の活用
VS CodeのCopilot Chatでは、「Auto」オプションを選択することで、タスクに応じて最適なモデルを自動選択できます。この機能を使用すると、有料プランでは10%のマルチプライヤー割引が適用されます。
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実践的な活用シナリオ
シナリオ1: 新機能の実装
状況: Eコマースアプリに商品検索機能を追加する
推奨ワークフロー:
- 計画フェーズ - Claude Opus 4.5 または GPT-5 で全体設計を相談
- 実装フェーズ - Claude Sonnet 4.5 のAgentモードでコード生成
- レビュー・修正 - GPT-5 mini で細かい調整
期待される結果:
- アーキテクチャの一貫性が保たれた実装
- テストコードの自動生成
- ドキュメントの同時作成
シナリオ2: レガシーコードのリファクタリング
状況: 5年前のJavaScriptコードをTypeScriptに移行する
推奨ワークフロー:
- 分析フェーズ - Gemini 2.5 Pro の長文コンテキストで依存関係を把握
- 計画フェーズ - Claude Opus 4.5 でリファクタリング戦略を策定
- 実装フェーズ - GPT-5.1-Codex で段階的に変換
期待される結果:
- 型安全性の確保
- 既存機能の維持
- 段階的な移行計画
シナリオ3: バグの調査と修正
状況: 本番環境で間欠的に発生するエラーを調査する
推奨ワークフロー:
- ログ分析 - GPT-5 でスタックトレースを解析
- コード調査 - Claude Sonnet 4 でビジュアル情報も含めて調査
- 修正・テスト - Grok Code Fast 1 で迅速に修正案を生成
期待される結果:
- 根本原因の特定
- 再現条件の明確化
- テストケースの追加
モデル切り替えの方法
VS CodeでCopilot Chatのモデルを切り替えるには、以下の手順を実行します。
- Copilot Chatパネルを開く(
Ctrl+Shift+IまたはCmd+Shift+I) - チャット入力欄の下部にあるモデルセレクターをクリック
- 使用したいモデルを選択
チャットの途中でもモデルを切り替えることができ、会話のコンテキストは維持されます。
まとめ
VS CodeのCopilot Chatで利用できるAIモデルは、それぞれ異なる強みを持っています。効果的にモデルを使い分けることで、開発効率を大幅に向上させることができます。
モデル選択の基本指針:
| 用途 | 推奨モデル |
|---|---|
| 日常的なコーディング | GPT-5 mini、GPT-4.1 |
| 高速応答が必要 | Claude Haiku 4.5、Gemini 3 Flash |
| 複雑な問題解決 | Claude Opus 4.5、GPT-5 |
| ビジュアル解析 | GPT-5 mini、Claude Sonnet 4 |
| Agentモード | Claude Sonnet 4.5、GPT-5.1-Codex |
| コスト重視 | Grok Code Fast 1、GPT-5.1-Codex-Mini |
モデルの性能と価格は継続的に更新されています。最新情報はGitHub公式ドキュメントで確認することをおすすめします。